Thought Leadership ぶろぐ

当面は米国の安全保障政策やその動向について取り上げたいと思います。(週末更新)

「米国防総省が中国企業の投資ブラックリストを拡大」(2021年5月27日記事)

1.元記事(Defense News)

www.defensenews.com

2.記事要旨

  • Foundation for Defense Democracies(FDD/民主主義防衛財団)は、新たに公表したレポートで、米国防総省DoD)は中国人民解放軍(PLA)と紐づいていながら米国で経営をしている中国企業40社以上をブラックリストに入れているが、それは氷山の一角に過ぎないとの見方を示した。
  • DoDブラックリストは中国の軍民融合戦略への対策として作成されたものであるが、当該リストに載っている企業以外にもPLAとの紐づきが懸念される企業や下請け会社がしっかりトラッキングされていない可能性を孕んでいるとのこと。
  • 例えば、世界第3位の規模を誇る絵画オークション店を保有するChina Poly Group Corporation(中国保利集団公司)の下請けには、紛争地域(ミャンマージンバブエ)に対して武器を売っていることが分かっている。
  • また中国科学院(Chinese Academy of Science)は企業でもなく、またリストにも載っていないが、主要株主のSugon(曙光)社はデュアルユース(民間利用のみならず軍事目的にも転用できる技術や製品)研究を行っていることも判明している。
  • 斯様な状況を受けて、米国では米国技術へ更に投資して信頼のおける調達を実現するべく、Trusted Capital Marketplace Programを開始している。

3.Leader’s ほそく

中国企業は、米国内で表面上全然関係のないビジネスを運営している一方で、裏では共産党から多額のキャッシュを得ながら、米国の知的財産を始めとする情報を窃取しているといわれております。特にHuaweiやZTEなど、トランプ前政権時代に摘発された企業はこのような疑いがかけられています。ただ往々にして中国製品は安価なので、メーカーやベンダーとしてはコスト削減の為に、高額な国内製品より安価な中国製品を使おうと思ってしまうのも無理は無いです。しかしそれではいつまでも状況を打開出来ないので、米国政府はMarketplaceという仕組みを導入し、認証を受け信頼出来るベンダーのみをリストアップして、ここに登録されていないベンダーからは調達をしない、ということにしております。日本政府においては、米FedRAMPが運営するMarketplaceを参考に、信頼できるクラウド事業者をリスティングした「登録簿」を作りました。中国には「上有政策、下有対策」という諺があります。つまり何かルールがあった場合、中国人はそのルールを搔い潜ることを常に考える、ということです。今後中国は、Marketplaceという仕組みをどう回避しようとするのでしょうか。

 

それでは、Have a nice day!